レクリエーションを効果的に実施するために①
大阪公立大学 准教授 田中寛之
2024.2.20(火)
レクリエーションをする目的
昨今は、さまざまな通所・入所の施設内、さらには病院などの医療機関でもご高齢者や認知症を持つ人にレクリエーションが提供されていると思います。
レクリエーションそのものに参加することももちろん大切ですが、参加することが「目的」になってしまっていないでしょうか?
本日のお話では、普段行っているレクリーションについて改めて振り返ってみたいと思います。レクリエーションの参加はあくまで「手段」になります。
レクリエーションの目的は「笑顔で楽しい時間を過ごし参加する(通所する)楽しみを感じてもらうこと」「日常生活能力を維持し、今の生活を継続してもらうこと」です。
これらの2つの目的は、全てのご高齢者の方に共通します。
特に認知症になられても笑顔などの感情を表す力は残っていますので、楽しみもしっかり感じてもらえます。精神・心理状態も落ち着けば残っている能力を発揮して生活能力も改善することができます。
レクリエーションをする時に確認しておくこと
①スタッフも一緒に楽しんでいるか?
スタッフも一緒に楽しむ必要があります。
レクリエーションの時間は記録の時間ではありません。参加者の立場になって考えてみた時にスタッフが見える場所で記録を書いていては「やらされている」という感覚を持ってしまう参加者もいるかもしれません。
一緒に楽しい時間を共有することは信頼関係を作る上でもとても大切です。
②対象者に無理強いしていないか?
レクリエーションは無理強いされると嫌な気分になります。興味関心があるかないかで、参加する上での積極性も変わってきます。
人には絵を描くのは得意だけど体を動かすのは苦手、音楽を聴くのは好きだけど歌うのは嫌い、など、得意不得意、好き嫌いがありますので、さまざまなレクリエーションに無理やり参加させるのは少し考えなければなりません。
「活動を一歩下がったところから見る、もし少しでも関心がでたら参加を促してみる」など、少し段階を踏んで参加を促すのも工夫できます。
③レクリエーションの目的・意味を説明できるか?
スタッフはそのレクリエーションが対象者にとってどのような意味があるのか説明できる方が良いでしょう。
例えば、運動活動であれば「足腰の筋力を維持して、生活の中でころばないようにするため」などです。対象者の生活の中の個別性を意識した意味を説明できるようになれば素晴らしいです。
レクリエーションの進め方
レクリエーションの進め方として大切なのは、「準備」です。意外でしたでしょうか?準備をしっかりしていればスタッフだけでなく参加者も安心して活動に取り組むことができます。
下の図は、レクリエーションの流れを示しています。
進め方としては、一回一回のレクリエーションの中では、中盤頃に場の盛り上がりがピークになってくるように心がけるのが良いです。
最後の振り返りも忘れず、対象者に「楽しかった!」という感覚を持ってもらうことが大切です。
また、実際の進行役とサブのスタッフの役割なども事前に準備をしていくことも大切です。サブのスタッフもリーダーの助けになるように物品の準備をしたり、参加者の人たちと一緒に積極的に楽しんでください。
次回は、具体的な活動内容や活動内容シートの作成方法など、より実践的な内容をお伝えしたいと思います。
田中寛之(Tanaka Hiroyuki)
大阪公立大学 医学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 准教授
高齢者・認知症の人の認知機能や生活行為などの医療・介護現場での臨床と研究に従事。
2020年より、弊社と認知症グッドプラクティスシステムの共同研究開発を実施中。