一気通貫システムでは効率化は図れない理由
今日は、とても大切なお話をさせていただきます。
現在、私は介護現場に深く関わりながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組んでいます。この活動を通じて、長年抱えていたモヤモヤがようやく晴れたため、今日はその気づきを皆さまに共有したく、この記事を書きました。
「一体型」「一気通貫」システムの現実
「一体型」や「一気通貫」と呼ばれるシステムは、国や自治体が補助金を出してまで導入を推奨していることをご存じの方も多いでしょう。中でも「記録と請求の連動」は、効率化の第一歩として広く謳われています。
そんな中、弊社は長年にわたり、介護記録(以下「記録」といいます)に特化したケア記録アプリを提供してきました。
弊社が事業を立ち上げた約10年前、タブレットでの記録はまだ一般的ではありませんでしたが、多くの施設ではすでに記録機能を含むシステムを導入していました。ところが、実際には高額なパソコンベースのシステムが導入されているにも関わらず、使用されていたのは請求機能だけで、記録は依然として紙で行われていたのです。
記録の電子化は進んだが……
時が経ち、現場の電子化は確実に進みました。特に数年前のコロナ禍を契機にWi-Fi環境が整い、電子化の波は一気に加速しました。私の体感では、現在では半数以上の事業所で記録の電子化が実現しているように思います。
しかしながら、「電子化による効率化」は進んでも、「一気通貫による効率化」が進んでいるとは言えません。
「記録から請求に直結するデータ」は本当に存在するのか?
私はこれまで、「記録から請求に直接つながるデータは存在しない」と繰り返し主張してきました。
実際、ユーザーから「御社の記録は請求と連動しないのですか?」と問われることがあります。その際、「どのデータを請求に連動させたいですか?」と逆に尋ねると、明確な答えが返ってくることはほとんどありません。
記録と請求は本来、目的も役割も異なる独立した業務です。そのため、「記録から請求へ」という一気通貫を推奨する国の方針には、正直なところ強い違和感を覚えていました。
「記録 → 請求」がもたらす誤解
使いづらいけど、補助金が出るからという理由で「一気通貫型システム」が導入される一方、弊社の記録アプリを導入したことで業務が効率化し、残業がなくなったという感謝の声をいただくことも少なくありません。どちらが理想的かは言うまでもないでしょう。
しかし、私の中にずっと引っかかっていた疑問がありました。
なぜ請求担当者は記録を見るのか?
現場を見学する中で、請求担当者が記録を確認している場面を何度も目にしました。
「もし本当に記録と請求が無関係であるなら、記録を見る必要はないのでは?」——この疑問の答えが、ようやく見つかりました。(というより、頭の中で整理ができたというのが正しいかもしれません。)
それは、「請求の正確性を確認するために、記録を(必要に応じて)確認する必要がある」という事実です。
これを聞いて、「やはり記録と請求は連携すべきでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、ここがまさに多くの人が誤解しているポイントなのです。
見落とされがちな前提条件:「記録は100%正確か?」
国や自治体、システムベンダー、介護法人経営者の多くは、「記録から請求への処理の流れが効率化につながる」と考えています。
しかし、この考えには大きな前提が欠けています。
それは、「記録が100%正確であること」です。
記録に一切の誤りがなければ、記録と請求を連動させることで効率化は実現するかもしれません。しかし、現実には記録を100%信頼している請求担当者は存在しません。
なぜなら、記録の主な役割は利用者のケア内容の記録やスタッフ間の情報共有、監査対応のエビデンスとしての活用にあり、請求処理のためではないからです。
記録と請求は「二重チェック」で整合性を保っている
では、請求担当者はどのようなときに記録を確認するのでしょうか?
それは、請求処理を行う中で予定と実績にズレが生じたときです。たとえば、予定上は「0」なのに、実績上は「1」となっているケース。この場合、どちらが正しいかを判断するためにその根拠を記録を遡って確認する必要が生じます。
このプロセスにより、「二重チェック」が自然と働いているのです。
つまり、現場の実態は「記録 → 請求」ではなく、「請求 → 記録」の順に整合性を確認しているのです。
一気通貫システムがもたらすリスク
一気通貫型システムでは、この二重チェックが機能しにくくなります。記録と請求が自動で連動することで、誤りの検出が困難になるからです。
弊社でもアプリユーザー約2,000件へ利用料請求の業務を行っていますが、契約管理システムと請求システムの間で突合作業を行い、ミスの防止に努めています。これを一元化すれば、誤請求のリスクが増すことは明白です。
介護事業所の請求担当者も、1つのシステムに頼ることなく、独自の方法で二重・三重チェックを行っています。しかし、こうした作業には大きな時間と労力、間違えてはいけないというストレスがかかることを、もっと周囲が理解を示してあげるべきです。
そして、「一気通貫型システムを導入すれば、その負担が解消される」と誤解してはいけません。
私たちが本当にすべきこと
現在、私が注力しているのは、各事業所で独自に行われているチェック作業の効率化です。
実際に、これまで半日から一日かかっていた作業が、数分で完了するようになった事業所もあります。システムを変更することなく、少しExcelを活用するだけで、作業時間は劇的に短縮できます。

最後に
効率化の第一歩は、システムの導入ではありません。
「どこに時間がかかっているのか」を分析し、「どう改善するか」を根本から見直すことこそが、真の効率化への道です。
私たち介護サプリが、そのお手伝いをいたします。
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投稿を表示ウチは現在、記録、請求、計画書類(加算の関係書類、モニタリング等含)、LIFEと全部バラバラなんですけど、請求ソフトがサービス終了することが決まったことから、次の請求ソフトを検討しているところです。
そこで今正に、この記事の問題に直面している?ところなんだと思いますが💦、どこのソフトにするか悩む中で前提として、現在使っている請求ソフトの利用料が鬼のように安いもんですから、支出を増やしたくないという目線に立ってます💦
何件か話を聞いた段階ですが、請求、口座振替(複数事業所分のデータ統合)、利用者負担分の請求書領収書などの機能だけでも今の何倍にもなってしまいます・・・
全部込みの一本化にした場合、現在と比べて利用者情報を4度打ちせんでいい、請求ソフトだけを変更した場合に比べて費用も抑えられるー、使い勝手は“慣れやー”ぐらいに考えたら、全部込みの一体型になってしまうんかなと思ってます。
そもそも介護報酬の単位数を決める際の根拠となる値が、2000年介護保険スタート当時の「介護職員」の賃金であるといわれています(ボクも聞いた話で、その根拠資料はまだ見つけてないんですけど💦)。
当時で言えば額面15万円とか?その根拠の値は25年経った今も変わってないという無茶苦茶な理屈が通っているみたいなんですけど、そりゃ、昭和時代の法律を今も変わらず使っているような場面もある国ですから、25年くらいまだまだ最近やー程度の感覚なんか知りませんけど、、最低賃金上がっとるやないかい!!って話で、物価も高騰してるんやから適正な水準にはすべきなんですけどね。
そうなれば、お金を掛けるべきところに必要なお金を掛けられるし、もっと将来の可能性についても広い目線で考えられると思います。ただ、そうではないので、単なる愚痴になってしまうんですけど笑笑
良きアドバイスがあれば、是非ッ!!<(_ _)>
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投稿を表示弊社の場合、記録は介護サプリさん、請求はビーシステムさん、勤怠管理はケアズコネクトさんで
行っております。なぜバラバラで導入しているかといいますと、それぞれソフトの得意分野が違うという点、及び職員の使いやすさを重視したからです。記録と請求システムが連動して良くなる点は、共通で持てる利用者さんの介護度や認定期限を2度打ちしなくてもよい点、通常請求システムで作っているケアプランの短期目標が共有できれば、短期目標が変更になっても修正しなくても済む点です。弊社では利用者ごとに短期目標をプルダウンメニューに登録し選択結果を記載するというやり方で運営指導でも言われるケアプランとの連動制を保っています。ただ、これらがそれぞれ得意とするソフトを切り捨てて一社を選ぶというところには至りません。