知っ得コラム

やすば
2025/09/02 12:22

クラウドサービスは本当に危険?

「クラウドで個人情報を扱うのは危険じゃない?」

「絶対大丈夫って言える?」

 

導入検討中のお客様から時々聞かれるフレーズです。

 

~クラウドとオンプレミスを正しく理解しよう~

 

介護や医療の現場では、日々の記録や情報共有のために、ケア記録アプリなどのITツールが活用されています。今やこうしたアプリの多くは「クラウドサービス」として提供されています。

 

しかし、特に医療業界では今もなお、

「インターネットを通じて個人情報を扱うのは危険だ」

という意識が根強く、オンプレミス型(自社運用型)のシステムを支持する声も少なくありません。

 

では本当に、
クラウド型は危険で、オンプレミス型は安全なのでしょうか?

 


 

クラウド型とオンプレミス型の違い

項目 クラウド型 オンプレミス型
データの場所 インターネット上のクラウド環境(例:AWS、Azure) 施設内サーバーやPCなど自前で設置
利用方法 インターネット経由でアクセス 施設内ネットワーク経由で複数端末から利用、またはスタンドアロン運用も可能
セキュリティ対応 ベンダーが24時間監視、定期的なアップデートあり 管理者の対応に依存、アップデートは任意または未対応の場合も
初期コスト 比較的低コストで導入可能 サーバーや設備の購入が必要
障害時の対応 ベンダーが即時対応、データのバックアップ体制も充実 自前対応。専門知識や外部委託が必要なことも
法的な対応 多くのクラウドサービスは医療情報ガイドライン等に準拠 適切に構築されていれば可能だが、運用ミスのリスクも

 


 

「クラウドは危険」って本当?

 

安全かどうかは、「作る人」「使う人」次第

 

「クラウドは外にデータを預けるから危ない」
「オンプレミスは自前だから安心」

こうした考え方は、もはや時代遅れで、根拠のない“神話”のようなものです。

 

例えるなら、

「ネットバンキングは危ない。現金は手元に置いておく方が安心。」

という感覚に近いかもしれません。

 

確かに、インターネットを通じてお金を管理することに不安を覚える人もいるかもしれません。
でも、ネットバンキングでは銀行が高度なセキュリティを備え、日々さまざまなサイバー攻撃に対して監視、ブロックをしています。


一方で、現金を家のタンスに保管していた場合、火災や盗難に遭ってもすべて自己責任です。

 

クラウドも同じです。
信頼できるクラウドサービスでは、専門のセキュリティチームが24時間体制で監視し、常に最新のセキュリティ対策が施されています。

 

「どこにあるか」ではなく、「どう管理されているか」が安全性を決めるのです。

 


 

クラウドとオンプレ、どちらのシステムにも、「絶対に安全」はありません。

 

セキュリティの強度は、

  • システムを開発・提供する会社
  • 管理者の対応力
  • ユーザーのセキュリティ意識

といった人の関わり方に大きく左右されます。

 


 

クラウドの方が安全な場合もある

 

オンプレミス型を使っていても、以下のような状態では非常に危険です。

  • 古いパソコン上で稼働している
  • セキュリティ更新が長期間行われていない
  • バックアップ体制が整っていない
  • 管理者が不在、または不在時に対応できない

このような環境では、むしろクラウド型の方が安全性が高いケースも少なくありません。

 

多くのクラウドサービスでは、

  • 最新のセキュリティパッチを自動適用
  • 24時間365日のシステム監視
  • 障害・災害対策としてデータを複数拠点に分散させている
  • 専門のセキュリティチームによる管理

など、個人や小規模施設では対応しきれない体制が整えられています。

 


 

セキュリティを決めるのは「技術」だけではなく「人」

 

クラウドかオンプレかという形式だけで、「安全かどうか」を判断するのは正しくありません。

 

本当に重要なのは、

  • セキュリティ対策がなされた設計・開発がされているか
  • 日常の運用体制が整っているか
  • 管理者が適切に対応できるか
  • 利用者がセキュリティ意識を持っているか

といった、人の関わり方や意識です。

 


 

これからの時代に求められる「判断力」

 

クラウド型サービスは、ただそれだけで危険なものというものではありません。
同様に、オンプレミス型が常に安全とも限りません。

 

安全性を左右するのは、「クラウドかオンプレか」という仕組みの違いではなく、管理や運用の体制・人の関与です。

 

介護や医療の現場でも、ITの活用はますます重要になっています。

 

これからの時代に求められるのは、
**「形式にとらわれず、最も安全で効率的な選択をする力」**です。

 


 

「安心・安全な現場」を守るために、ITの正しい理解と判断力が欠かせません。
ぜひ、現場の環境に合った最適な選択をしていきましょう。

 


 

ちなみに最初の問いについての回答です。

 

「クラウドで個人情報を扱うのは危険じゃない?」

- クラウドだから危険というのは違います

 

「絶対大丈夫って言える?」

- クラウドでなくても、絶対大丈夫はありません

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2 件の返信 (新着順)
MASU
2025/09/03 09:05

グループ内の医療機関はオンプレミス型で、最近病院の総務の方に「(クラウド型で)セキュリティは大丈夫?」と聞かれたばかりです。わかりやすい内容で納得しました。
判断の根拠をもって、しっかり対策していくのは施設運営と同じですね。
苦手分野なので、わからないことがあればサプリの部屋で質問します!

たまき
2025/09/02 14:03

ここ数年で大規模なサイバー攻撃被害にあった医療機関(徳島県つるぎ町立半田病院、大阪急性期・総合医療センター、鹿児島県霧島市 国分生協病院、など)は、いずれもオンプレ環境に構築されたシステムが狙われましたね。

オンプレ環境と言っても、それが意図的かそうでないかに関わらず、ネットワークを辿っていくとどこかでインターネットに繋がっていることがほとんどです。そしてそのネットワークのどこかに脆弱な部分があると、インターネットを介したサイバー攻撃被害に遭ってしまいます。

オンプレにもクラウドにも「絶対の安全は無い」という意識でシステムを管理・運用することが大事ですね。