高齢者の足の健康と靴選び(後編)
医療社団法人山手クリニック リオクリニック 副院長 富岡義仁
2025.02.03(月)
目次:
1. 足の変形や痛みが引き起こす問題
2. 高齢者に適した靴の選び方とポイント
✅️ 3. 足のケアを怠ると起こるトラブルとその予防法
✅️ 4. 整形外科での足の診断とインソールの活用
✅️ 5. 屋内外で安全に歩くための工夫
✅️ 6. 足のトレーニング
前編は1.2についてお話ししました。後編は3からご説明いたします。
3. 足のケアを怠ると起こるトラブルとその予防法
靴選びだけでなく、足そのもののケアも重要です。足の状態を日々チェックし、適切なケアを行うことでトラブルを未然に防ぎましょう。
(1)爪のケア
高齢者は爪が厚くなり、切りにくくなることがあります。正しく切らないと巻き爪になったり、傷つけたりする恐れがあります。爪はまっすぐに切り、角を丸めないようにしましょう。自分で切るのが難しい場合は、家族や専門のフットケアサービスを利用すると良いでしょう。
(2)皮膚の乾燥対策
足の皮膚が乾燥すると、ひび割れや感染の原因になります。保湿クリームを毎日使用し、足を柔らかい状態に保ちましょう。特にかかとはひび割れやすいため、重点的にケアを行います。湿布などを常用していると皮膚が傷んでしまうこともあります。痛み止めを使用したい場合は塗り薬のほうが皮膚に対する負担は少ないですので、かかりつけ医に相談しましょう。
(3)糖尿病性足病変の予防
糖尿病の方は、足を毎日チェックし、小さな傷や炎症を早期に発見することが重要です。感覚が鈍くなりがちなため、傷やタコに気づきにくいことがあります。傷が見つかった場合はすぐに医師に相談し、靴や靴下を適切なものに変えることを検討しましょう。足を含む糖尿病の皮膚病変は糖尿病内科、皮膚科、循環器内科、整形外科など様々な科での総合的な治療とメンテナンスが必要です。後戻りできない状況になることも多くありますので、早め早めにかかりつけ医にご相談ください。
(4)血行促進・むくみ除去
むくみや冷えが気になる場合は、足を高くして休む、軽いマッサージを行うことで血流を促進できます。また、足先を動かすような簡単な運動を日常生活に取り入れるのも効果的です。
ドラッグストアでむくみ除去ソックスを購入するのも良いかと思います。

4. 整形外科での足の診断とインソールの活用
足に痛みや変形がある場合、整形外科を受診することをおすすめします。整形外科では、足の状態を正確に診断し、一人ひとりに合った治療法やサポートを提供してくれます。また、足部専門医の資格をもった整形外科医もおりますので、お困りの際はぜひ検索してみてください。下記ウェブサイトから探すことができます。
https://www.jssf.jp/general/hospital/
(1)インソールの役割
インソール(靴の中敷き)は、足のアーチを支え、歩行時の負担を軽減する重要なアイテムです。足裏全体に均等に力を分散させることで、膝や腰への負担も軽減します。
(2)オーダーメイドのインソール
整形外科では、患者の足形や症状に合わせたオーダーメイドのインソールを作成することができます。特に外反母趾や偏平足、糖尿病性足病変がある方には非常に効果的です。適応は診察した医師の判断にはなりますが、保険適応であれば5,000−15,000円程度の自己負担で作成することが可能です。
(3)市販のインソールの活用
症状が軽い場合や予防目的であれば、市販のインソールを活用するのも良いでしょう。ただし、靴に合った形状や硬さを選ぶことが重要です。詳しいスタッフさんに相談してみてくださいね。

5. 屋内外で安全に歩くための工夫
足の健康を守るためには、靴選び以外にも日常生活での工夫が必要です。以下は、安全に歩くための具体的なアドバイスです。
(1)室内履きの重要性
室内で履くスリッパは、かかとが固定され、滑り止めが付いているものを選びましょう。足にフィットしないスリッパは転倒の原因になります。
(2)歩行サポート器具の活用
歩行が不安定な場合は、杖や歩行器を活用すると良いでしょう。歩行器や杖は整形外科で適したものを相談し、正しい使い方を学ぶことが大切です。介護保険で補助が出るケースもあるので、役所やケアマネージャーさんがいらしたら相談してみても良いかもしれません。
(3)床の安全対策
家の中の床に障害物や滑りやすいマットがあると、転倒の危険性が高まります。床を整理整頓し、滑り止めマットを活用するなどの工夫を行いましょう。
(4)足元の注意
外出時には、歩く際に足元に注意を払い、焦らずゆっくりと歩くことを心がけましょう。特に雨の日や暗い道では、滑りにくい靴を履き、視界を確保するために杖や懐中電灯を持つことをおすすめします。

6. 足のトレーニング
最後に足のトレーニングについてお話します。靴や環境の調整と合わせて、痛みや体調に合わせてしっかりとトレーニングもしていくことで転びにくくなったり、歩いても疲れづらくなります。特に現代人は足の指の力が弱まっているため、意識的に鍛えていきましょう。
(1)カーフレイズ(かかとあげ)
10回x3セット
かかとを上げて3秒キープして下ろす。転ばないように、バランスが崩れたときに掴まれるもののそばで行いましょう。

(2)トゥーレイズ(つまさきあげ)
10回x3セット
カーフレイズの逆。同様に3秒上げてキープして下ろします。こちらもバランスが崩れないよう掴めるもののそばで行いましょう。座っておこなってもよいです。

(3)タオルギャザー
タオルの端にペットボトル等のおもりを乗せても可です。足の指は小さく動かさず、全力でパー→グーをしましょう。足の指の力を鍛えると転倒予防になります。

おわりに
高齢者にとって、足の健康は自立した生活を送るための基盤です。適切な靴を選び、日々のケアを怠らないことで、快適な歩行を維持し、転倒リスクを軽減できます。
また、糖尿病を患う方は特に注意が必要で、小さな異変に気づいたらすぐに対処することが重要です。
足元から健康を支え、活動的で豊かな生活を楽しみましょう。
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富岡義仁
医療社団法人山手クリニック リオクリニック 副院長
整形外科専門医
国際オリンピック委員会公認スポーツドクター
トップアスリートから子ども、高齢者まで幅広く診療を行う。薬の処方だけでなく運動療法を通した症状の改善を目指している。